食品・飲料などに甘みをつけるために使われる調味料として砂糖などの甘味料があります。しかし砂糖にはカロリーが高い、虫歯の原因となる、血糖値を上げる、などの欠点(デメリット)があります。それらの欠点のない物質として人工的に作られた物質が人工甘味料です。
人工甘味料とは?
人工甘味料とはその名の通り、自然界には存在しない、人工的につくられた甘味料のことです。現在、様々な食品、清涼飲料水などに幅広く使用されており、身近なものとなっています。
現在、日本の食材、製品精製で使用されている代表的な人工甘味料として「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムカリウム」の3つが挙げられます。
日本での使用・利用量の参考として下記の輸入量の推移が参考になります。

日本ではスクラロース、アセスルファムカリウムに関しては全て輸入品、アスパルテームは国産品と輸入品が流通しています。
アスパルテーム
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸を結合して製造される甘味料です。
カロリーは砂糖と同じ1グラムあたり4kcal(キロカロリー)、同量の砂糖と比較すると、その甘さは砂糖の200倍です。砂糖の200分の1の分量で同じ甘さの感覚が得られ、カロリーも200分の1で済むという利点があります。味は砂糖に似た甘さを感じることができますが、違和感のある独特の後味があり、砂糖の甘さのみを感じる自然な味と比べるとやや質の落ちる味である点がデメリットと言えます。
厚生労働省によりアスパルテームの20歳以上の平均体重(58.6kg)における一日あたりの許容摂取量は2344(mg/日)と指定されています。
2011年度(平成23年度)の調査では一人当たりの一日での摂取量は0.019mgとされています。許容摂取量と比べ多きな差がありますので問題はないといえます。
アスパルテームが使用された食品例:コカ・コーラ ゼロ、コカ・コーラ アクエリアス、カルピスソーダ
スクラロース
スクラロースは、砂糖の3つの水酸基を塩素原子に置換することにより生成される甘味料です。
カロリーは1グラム当たり0kcal(ノンカロリー)、同量の砂糖と比較すると、その甘さは砂糖の600倍です。熱に強く、水などに溶けやすいということもあり、清涼飲料水や酒、お菓子、ガムなど、様々な幅広い製品で使用されています。原料が砂糖ということもあり味は砂糖に似てはいるものの微妙な違いはあります。また、アスパルテームのような独特の後味もほとんどなく、後味が比較的少ないのが特徴です。
厚生労働省によりスクラロースの20歳以上の平均体重における一日あたりの許容摂取量は879(mg/日)と指定されています。
2015年度(平成27年度)の調査では一人当たりの一日での摂取量は0.825mgとされています。許容摂取量と比べ多きな差がありますので問題はないといえます。
スクラロースが使用された食品例:アサヒ飲料 モンスターエナジー、レッドブル シュガーフリー、日清食品 カレーメシビーフ
アセスルファムカリウム
アセスルファムカリウム(アセスルファムK)は、ジケテン(酢酸由来)とスルファミン酸を合成して作られる甘味料です。
カロリーは1グラム当たり0kcal(ノンカロリー)、同量の砂糖と比較すると、その甘さは砂糖の200倍です。味は、甘みと特有の苦みの混ざった味で、後味は比較的スッキリとしています。酒類や炭酸飲料など、苦味がもともとある飲料などによく用いられます。また、アスパルテームなどの甘味料と併用すると砂糖に近い甘味となることから、併用され使用されることも多い甘味料です。
厚生労働省によりアセスルファムカリウムの20歳以上の平均体重における一日あたりの許容摂取量は879(mg/日)と指定されています。
2015年度(平成27年度)の調査では一人当たりの一日での摂取量は1.357mgとされています。許容摂取量と比べ多きな差がありますので問題はないといえます。
アセスルファムカリウムが使用された食品例:アサヒ ドライゼロ、サントリー オールフリー、アサヒ飲料 三ツ矢サイダー
人工甘味料に関するまとめ

人工甘味料「アスパルテーム」、「スクラロース」「アセスルファムカリウム」の砂糖との比較、メリット、デメリットをまとめると以下のようになります。

人工甘味料は砂糖の欠点であるカロリーの高さ、虫歯の原因となる、血糖値を上げるなどの問題はなく、そういった点を気にせず甘さを味わえる長所がありますので、糖尿病対策やダイエットなどにも適しています。こういったメリットがある反面、その味は砂糖と比較すると全く同質とはいかず、どの人工甘味料においても砂糖に近い味、「似た味」ではあっても「同じ味」ではないのは明らかです。今回取り上げた3つの人工甘味料は味を少しでも砂糖に近づけるため、組み合わせて使用されることも多いです。例えばコカ・コーラ ゼロの場合、これら3つの甘味料がすべて使用されています。味という点では砂糖に劣る点がまだまだありますが、砂糖を摂りすぎないことを手助けしてくれるものには違いはありません。人工甘味料を上手く使うことで砂糖に起因する病気などを避けることも可能です。
また、一人当たりの一日での摂取量の統計から、人工甘味料の摂取のし過ぎということも一般的には起こっていないのが現状ですので、普段の生活で摂取をし過ぎるといった心配もありません。
ただし、人工甘味料が積極的に利用されるようになってからの歴史が短いこともあり、これらに関する副作用に関しては未知の部分があることも事実です。短期的には異常な量を摂りすぎなければ問題はないと実証されてはいますが、少ない量でも何十年ものスパンで長期的に摂り続けた場合、何らかの副作用がないとは言えません。カロリーが少ない人工甘味料だからと言ってあまりにも安心して摂りすぎることのないよう、メリットやデメリットを理解した上で、「甘み」を楽しめれば、健康に生活を長期的に過ごしていけると考えます。
—参考元—
農林水産省,砂糖及び異性化糖の需給見通し
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/satou.html
東京都福祉保健局,食品添加物の使用基準と成分規格
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/shokuten4.html
厚生労働省,マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/sesshu/index.html