PCR検査、抗原検査、抗体検査とは何か?

PCR検査、抗原検査、抗体検査とは何か? 知って得する最新情報

人が今、何かのウイルスや細菌に感染しているか、過去に感染したことがあるかを調べるには様々な方法があります。これらの中で、PCR検査、抗原検査、抗体検査、これら3つの検査方法に関して解説します。

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PCR検査とは?

PCR検査とは対象者からぬぐい液や唾液などの粘液を採取し、それを専用の装置を使って調べたい対象の遺伝子情報を増幅(数を増やす)する作業を行い、感染の有無を確認する方法です。

このPCR検査の特徴は判定結果の正確性が他の検査法よりも高い点です。
欠点は、遺伝子情報の増幅作業に数時間を要する点、検体(検査用のサンプル)の採取がやや難しい点です。

検体(サンプル)の採取方法

検体の採取方法

検査用の検体の採取には鼻から綿棒を奥深く入れて、鼻咽頭のぬぐい液(粘液)を採取する方法が一番効果的です。この場合、鼻のかなり奥の方(喉に近いほどの奥深く)にまで綿棒を入れ、そこで綿棒の先端を何度かこすりつけ、それを取り出すという作業を行います。きっちりと検体の採取が出来なければ正しい結果が出ませんので、この方法での採取には経験が必要となります。また、採取中に鼻を刺激するため、せきやくしゃみを誘発し、検体を採取する人が危険という問題もあります。

鼻からの採取方法とは別に、簡単な方法として、唾液を容器で採取する方法もあります。ただし、この方法での場合、鼻咽頭のぬぐい液を採取する方法に比べて結果の正確性(精度)が落ちるという欠点があります。

検査の感度(精度)を考えれば、鼻からの採取がベストな方法と言えますが、難度や危険性が高いため、唾液を用いた検査で妥協するということも状況によってはありえます。

判定方法

PCR検査の検査方法

採取した検体は試薬を加えた上で専用の装置にて調べたい対象の遺伝子情報を増幅する作業を行い、増幅作業完了後、対象物(ウイルスや細菌)の遺伝子が検出できるかどうかで陽性、陰性といった結果を判定します。
こういった方法のため(特に遺伝子情報の増幅作業に時間がかかる)、結果が出るまでには6時間程度かかります。また、専用の装置や技術者が必要になるため、検体を採取した施設では判定作業自体はできず、その検体を専門の検査機関に送り、そこで判定作業を行い、結果を後日連絡という手順になるのが一般的です。
さらに、この方法は結果の精度がかなり高いとはいえ、100%確実というわけではないため、本当は感染している人の結果が「陰性」となる可能性はあります。

PCR検査は、これらの時間的な問題や検査にかかる手間など、検査に関する課題は多いですが、それらを含めても、結果の精度自体が高いという大きな利点が重視され、今現在や今後も様々な検査方法として利用されることが期待・想定される検査方法です。

抗原検査とは?

抗原検査とは「抗原」の有無を調べることによって対象(ウイルスや細菌)に感染しているかどうかを判定する検査方法です。「抗原」とは細菌やウイルスなどに含まれるタンパク質などのことを指します。

抗原検査はインフルエンザの簡易検査としても一般的によく用いられています。

この検査方法の利点はPCR検査とは違い、遺伝子情報の増幅作業が必要ないため、判定までに時間がかからない(数十分程度)、専用の高価で操作が特殊な機械が必要ない、などの点です。
欠点はPCR検査と比べると判定結果の正確性が落ちる点です。そのため、この方法はPCR検査の補助的な方法として用いられることもあります。

検体(サンプル)の採取方法

検査用の検体は鼻咽頭のぬぐい液を採取する方法で採取します。PCR検査と比べて多くの対象物(細菌やウイルスなど)が採取できなければ正しい結果が出ないため、唾液は基本的に用いることが出来ません。

判定方法

抗原検査の検査方法

採取した検体を試薬と混ぜ、検査キットにその液体を垂らします。その後、20分程度で表示窓に陰性や陽性を示した表示が現れ、結果が判明します。
インフルエンザウイルスの検査にはインフルエンザ専用のもの、新型コロナウイルスの検査には新型コロナ専用のものといった具合に、試薬と検査キットは検査対象にあわせて、それぞれ専用のものを用います。

抗原検査はインフルエンザや新型コロナなどの感染症を即時に検査、判定するために重要な検査方法です。結果の精度がそれほど高くないとしても、検体を採取したその場で検査の判定作業を開始でき、判定結果がすぐに出せる点が大きな利点です。

抗体検査とは?

抗体検査とは上記2つの検査とは違い、対象(ウイルスなど)に感染後に出来る「抗体」があるかどうかを判定する検査方法です。この検査によって、過去にその対象に感染したことがあるか、その対象への抵抗力(免疫)があるかどうかを判別することが可能です。

抗体とは対象への感染後、体内の免疫反応によって作られ、この抗体が体内にあれば、再度同じ物に感染したとしても、その対象を即座に攻撃・排除してくれるものです。
体内で抗体が作られるまでには時間がかかるため、基本的にはこの検査方法では現在感染しているかどうかを判定することは難しいです。

検体(サンプル)の採取方法

抗体検査は血液を用いて検査を行います。数滴の血があれば検査が可能なため、採取に注射器は必要ありません。指先に針を刺し、血をにじませ、その血液をスポイトで採取します。

判定方法

抗体検査の検査方法

スポイトで採取した血液を検査キットに垂らします。その後、20分程度で表示窓に陰性や陽性を示した表示が現れ、結果が判明します。
抗原検査と同様、インフルエンザウイルスの検査にはインフルエンザ専用のものといった具合にそれぞれの検査対象に合わせた専用の検査キットを用います。

これらの事から、この検査方法は、過去にその対象に感染したことがあるかどうか、その対象への抵抗力(免疫)があるかどうかが判定できる反面、今現在感染しているかどうかの判定に用いることには適しません。
抗体検査はその感染症がどの程度広がっているかの判断材料としての利用、自身がその感染症に対してある程度の免疫があるかどうかを調べる、何かのワクチン接種前のチェック用、などとして主に行われます。また、抗原検査と同様、検体を採取したその場で検査の判定作業を開始でき、判定結果がすぐに出せる点は大きな利点です。

PCR検査、抗原検査、抗体検査に関するまとめ

今回のまとめ

PCR検査、抗原検査、抗体検査、これら3つの検査方法は検査によって分かることやその精度、検査のしやすさなどに様々な違いがあります。

PCR検査、抗原検査、抗体検査の比較表


現時点での感染の有無を調べたい場合の方法として、PCR検査が最も有力な検査方法であるという点は間違いがありません。その補助的な方法として、まずは抗原検査を行い、そこで陽性が判明した場合はそこで検査は終了、陰性の場合はPCR検査を追加で行いそこで改めて判定、といった具合にそれぞれの利点を補い合うように利用していくことで、無駄や負担が少なく、迅速な検査を行っていくことが可能となります。
また、抗体検査は、過去にその感染症へ感染したことがあるかどうか、抵抗力があるかどうか、など他の検査とは全く違ったことが判定できる点から利用・活用方法自体が違うと言えます。


何を重視して、どの検査方法を行うのかを選べることで、検査を行う人、検査を受ける人、双方にとっての安全性、利便性、心の不安などを解決する結果を得られていけると考えます。

—参考元—

厚生労働省,新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

厚生労働省,SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000629736.pdf

厚生労働省,新型インフルエンザウイルス診断検査の方針と手引き
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02b.pdf