エタノールの殺菌・消毒の効果とは?

エタノールの殺菌・消毒の効果とは? 知って得する最新情報

一般的に除菌、殺菌や消毒の際に用いられる溶液として有名なのが「エタノール」です。このエタノールの具体的な効果や特徴、用途などを解説します。

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エタノールとは?

エタノールとはアルコールの一種で除菌効果があり、特有の香りを持つ揮発性の高い無色の液体です。(別名:エチルアルコール)。アルコール類には殺菌効果があり、危険性が高い劇物から、安全性が高いものまで様々なものがあります。その中でもエタノールは安全性や除菌効果が高く、取り扱いが安易で価格も安いため、化学溶剤、医薬品、化粧品、洗剤、飲食品などに幅広く利用されています。

「メタノールについて」

エタノールと名前が似たアルコールの一種にメタノール(メチルアルコール)というものがあります。これは工業用のアルコールで主に燃料(アルコールランプ等)、接着剤、ホルマリンの原料などとして使われる毒性の高い劇物です。エタノールと違い、皮膚に触れただけでも炎症を起こし、そこから吸収もされ、吸入した場合と同様に吐き気、めまい、意識障害など重篤な症状を起こします。エタノールとメタノール、名前は似ていますが、大変危険に物質ですので間違えて購入、使用されることのないようお気を付けください。

一般的に販売されているアルコール消毒・除菌といった商品は名称は違いますがエタノール消毒・除菌と記載された物と効能は同じものです。

殺菌・除菌・滅菌・抗菌・消毒の違い

  • 殺菌」とは細菌やウイルスを殺す効果のことを言います。この殺菌という用語は薬事法の関係で「医薬品」や薬用石鹸などの「医薬部外品」のみに使用できる用語です。そのため、日用品の洗剤などで殺菌効果があったとしても殺菌という言葉・表現は使用できません。
  • 除菌」とは菌を減らす効果のことをいいます。少しでも菌を減らす効果があればこの用語が使えます。
  • 滅菌」とはすべての微生物や菌、ウイルスを死滅する効果をいいます。菌などの残量が100万分の1以下になることをもって滅菌と表現します。
  • 抗菌」とは細菌の繁殖を抑える効果のことをいいます。あくまで菌が増えるのを抑制する効果のみで菌を減らす効果はありません。また、対象は「細菌」のみなのでウイルスなどの増殖を抑える効果もありません。
  • 消毒」とは有害性のある菌、ウイルスなどを「無毒化」する効果(不活性化)のことをいいます。薬事法の関係で「医薬品」や「医薬部外品」のみに使用可能な用語です。

エタノールの消費量

飲食料品を除く、一般家庭用エタノールの消費量の推移を表すと下記のようになります。

一般家庭用のエタノール消費量の推移

2009年度に消費量が上昇しているのは新型インフルエンザ(H1N1)の世界的流行があったためと推測されます。2010年度に一旦消費量は落ち着きますが、その後も緩やかな上昇を続けていることから一般家庭における除菌・消毒に関する需要の高さが伺えます。

エタノールの効果・有効性

エタノールは大腸菌や結核菌などの細菌、インフルエンザウイルスやHIVウイルス、コロナウイルスなどのウイルス類など様々な対象物の除菌に効果があります。ただし、万物に除菌効果が有効であるわけではありません
1つはボツリヌス菌のような芽胞を形成する細菌です。これらには、エタノールの効果はありません。また、ノロウイルスのようなエンベロープ(脂質膜)をもたない一部の特殊なウイルスに対しても、その除菌効果が十分に発揮されません。これらエタノールの効果がない対象には次亜塩素酸ナトリウムが有効です。

エタノールと次亜塩素酸ナトリウムの比較

次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤などに含まれている物質で、こちらもエタノール同様、除菌や消毒の際に広く用いられています。とても強力な除菌効果があり、ほぼすべての菌、ウイルスに対して除菌効果があります。もちろんエタノールが効かないボツリヌス菌やノロウイルスにも除菌効果は有効です。ただし、金属に使うとサビが発生しやすい、皮膚に付いたままにしておくと荒れや炎症が起こる、酸性の洗剤と混ざると有毒ガスが発生するなど、エタノールに比べて使用には多くの注意が必要という大きな欠点があります。

エタノールと次亜塩素酸ナトリウムの比較

これらの事から、対象に合わせてエタノールと次亜塩素酸ナトリウムの使い分けをする必要性があることが分かります。

「次亜塩素酸水について」

次亜塩素酸ナトリウムに似た物として次亜塩素酸水というものがあります。同じ「次亜塩素酸」という名であることからも分かるように、この次亜塩素酸水にも除菌効果があり、また、次亜塩素酸ナトリウムよりも皮膚についた際に炎症が起こりにくい特性もあります。ただし、除菌効果に関しては、まだ未実証な点があること、長期保存が出来ないこと、など利用に関しての課題も多くある物です。これら2つは全く違うものである点をご理解の上、お間違いのないよう、ご注意ください。

エタノールの原料

エタノールは原料の違いにより、2種類に分けることが出来ます。

  • 合成アルコール(エタノール):エチレン(石油)などの化学物質が原料
  • 発酵アルコール(エタノール):糖蜜やさとうきびなどの「糖質」ととうもろこしやじゃがいもなどの「でんぷん」を原料として製造
じゃがいもととうもろこし

合成アルコールは主に化学工業用に使用され、発酵アルコールは飲食物などに使用されています。

エタノール濃度による効果の差

エタノール(アルコール)は水との混合割合でその除菌効力が変わり、濃度が高いほど、除菌効果が高くなる傾向があります。ただし濃度100%の場合、揮発性が高すぎるためにその効果が大幅に減少する点は注意が必要です。効果を最大限に発揮するためには最適なエタノール濃度で使用する必要があります。エタノール濃度とその効果の差は以下の通りです。

エタノールが黄色ブドウ球菌を死滅させるのに要する時間

この表では黄色ブドウ球菌を死滅させるまでに要する時間を例として挙げています。(他の菌やウイルスに関しても効果の傾向は同じです)

エタノールの除菌効果は濃度50~90%の範囲内で高くなり、その中でも、エタノール濃度80%が最も効果が高いという結果が出ています。また、ウイルスや菌などの対象にエタノールの除菌効果が表れるまでには早くても数十秒間かかり、エタノールが触れて即時に除菌が完了するが無いことや、濃度が高すぎると、除菌が完了する前にエタノールが蒸発してしまい、その効果が低くなってしまうことがあることも分かります。
なお、医療向けに販売されている消毒用エタノールは、除菌効果が最大限に発揮されるように、濃度が約80%に調整されているものが多いですが、家庭向け商品の場合、それよりも濃度が薄いものも多くあります。商品購入の際は、その濃度の記載を確認することをお勧めします。

エタノールの危険性

エタノールはゴムや合成樹脂製品に触れると表面を溶かしてしまう恐れがあるので注意が必要です。

そして、エタノールには危険性として問題になるのは、その「引火性」です。引火性が高いため、その保管場所、使い方には注意が必要となります。
エタノールは濃度が高いほうがより除菌効果が高くなる傾向がありますが、高くなるとその分、引火性も高くなります。

エタノールの危険物表記

日本では消防法により、消毒用アルコールのアルコール(エタノール)濃度が60%以上の製品を「危険物(危険等級Ⅱ)」と指定しています。
この危険物に該当するエタノールは、法令により商品の入れ物・容器上への表示義務があります。

法令に基づいて下記6項目を記載する必要があります。

  • 危険物の品名:第4類アルコール類
  • 危険等級:危険等級Ⅱ
  • 化学名:エタノール
  • 水溶性(第四類のうち、水溶性の危険物の場合のみ表示)
  • 危険物の量
  • 危険物の類別に応じた注意事項:火気厳禁

これらを併せて実際の表示例は以下のようになっています。

アルコール濃度60%以上の製品での危険物(危険等級Ⅱ)表記例

これらのような記載がある商品は引火性に関して特に危険性が高いとされており、保管方法、保管場所、使用時などに注意が必要です。
ただし、これら記載の有るものは危険であると共にその除菌効果の有効性が高いという意味で理解し、活用することもできます。

除菌効果は濃度80%がその効果のピークと言えることから、濃度がある程度高いことは重要です。その保証の1つとして、この危険物表記を活用することができます。この表記があるものは結果として濃度60%以上であることをうたっているため、除菌効果が高い商品を探している際の1つの目安として理解することが出来ます。

危険物表記があるものはアルコール濃度60%以上、危険物表記のないものは濃度が60%未満ということから実際の除菌効果には差が生じます。
アルコール濃度が高いものを求めている際はこの危険物表記の有無を1つの目安としてみることをお勧めします。

また、直射日光が当たる場所や高温になる場所にエタノールを置いておくと、熱せられ、可燃性の蒸気が発生する危険性があるため、保管場所にも注意してください。

エタノールに関するまとめ

今回のまとめ

エタノールはその除菌効果の高さ、使い勝手の良さなどもあり、一般的な殺菌・消毒作業用としては優れた物質です。しかし、その引火性には注意が必要であり、対象によってはその除菌効果が低いこともあるため、どうしても次亜塩素酸ナトリウムなどの別の除菌効果がある溶液が必要な場面があります。
大事なのは効果を過信することなく、用途、場面に合わせて使い分けをすることにあります。

普段の生活で過剰に除菌をし過ぎ、清潔にし過ぎると体の抵抗力を保つために良い菌などまで無くしてしまい、結果として免疫力を下げる結果となることもあります。
危険性があると感じた際には躊躇なくエタノールなどで除菌を行い、それ以外の普段の生活中では手洗いうがいなどの基本的な行動で清潔を保つことで体の免疫力と健康とのバランスを保つことが出来ていけると思います。

—参考元—

経済産業省,平成30年度テクノロジーの進歩に伴う工業用アルコール市場への影響調査
https://www.meti.go.jp/policy/alcohol/pdf/h30fychousahoukokusho_technology.pdf

日本食品洗浄剤衛生協会,エタノールの除菌効果
http://shokusen.jp/ethanol.html