潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは? 知って得する最新情報

治療法や原因が明確になっていない病気である「難病」の1つに潰瘍性大腸炎があります。この病気は大腸で炎症が何度も繰り返し起こる厄介な病気です。この潰瘍性大腸炎の症状、治療法などを具体的に解説します。

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潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは大腸に炎症が起こり、その粘膜が傷つき、下痢や腹痛、発熱などといった症状が表れる、大腸の炎症性疾患です。一度症状が表れると数日から数週間以上にわたって収まらず、完全に治療する方法もありません。一度、症状や炎症が収まったとしても、また何度も炎症を繰り返す特徴もあります。そして、この病気の具体的な原因は分かっていません

潰瘍性大腸炎の広がり方

潰瘍性大腸炎による大腸の粘膜の炎症は、通常、直腸から始まり、その炎症が徐々に大腸全体に広がっていきます。

炎症の広がり具合によって、そのタイプは3種類に分けられます。
直腸部分だけが炎症を起こしている「直腸炎型」、炎症がひわん曲部にまで広がっている「左側大腸炎型」、炎症が大腸全体に広がっている「全大腸炎型」。
一般的にその炎症範囲が広がるにつれて、その症状も重いものになる傾向があります。

潰瘍性大腸炎の治療法は薬による投薬治療が中心で、それにより炎症・症状を出来るだけ抑える方向になりますが、この治療によって完全に治療(完治)することは残念ながら出来ません。

炎症症状のある状態を「活動期」、症状が表れなくなった状態を「寛解期」、寛解状態から症状が悪化して再び活動期になることを「再燃」と言います。
治療によって、いったん症状が表れなくなった時期(寛解期)になったとしても、再び症状が表れる「再燃」を完全に防ぐことはできません。

基本的に潰瘍性大腸炎は活動期寛解期を繰り返す性質があります。
投薬などでの予防法を行い、寛解期を出来るだけ長く維持することを目指す、再燃を出来るだけ起きにくくし再燃の兆候を早めに気付くことなどがとても重要となります。

また、症状の重症化がひどい場合、最終的な治療手段として大腸の全てを摘出する外科手術を行う場合もありますが、大腸を摘出すると、その後の日常生活に大きな変化、障害を生じる恐れがあるため、この方法はあくまで最終手段と考えられています。

こういった難しい病気である潰瘍性大腸炎は、国が定めた「指定難病」の1つに定められています。

難病、指定難病とは?

難病とはその病気の原因が不明であり、治療法が確立しておらず、希少な病であって、長期の療養を必要とするものとされています。

指定難病とは難病のなかで、その患者数が日本の総人口(2020年8月1日時点で1億2593万人)の0.1%(約12万人)程度以下であり、かつ診断基準が確立しているという条件を満たし、適切な医療確保の必要性が高いとされたもののことをいいます。
これは療費助成制度の対象となり、指定難病の患者が適切な医療が受けられるように 条件を満たした人は医療費の自己負担分の一部が助成されます。(通称:難病法)

2019年(令和元年)7月1日時点で333種類に及ぶ病気が指定難病として扱われています。
その333種類の中で2018年度(平成30年度) 末の時点で患者数が一番多いのがパーキンソン病(131125人)です。次が潰瘍性大腸炎(124961人)、その次が全身性エリテマトーデス(61060人)となっています。

患者数

この表の2018年度(平成30年度) 末の時点で潰瘍性大腸炎の患者数は124961人です。これは日本人の約1000人に1人が、この病気の患者であるということを意味します。

年齢別の潰瘍性大腸炎の患者数(2018年度)

その中で年齢別に患者数を見ると、20代から潰瘍性大腸炎の患者が増加し始めるということが分かり、この病気が若い人には無縁の物ではないということが分かります。
また、過去の統計上、潰瘍性大腸炎になる人の男女の性別による差はほぼ無いとされています。

重症度の判定

潰瘍性大腸炎の重症度合いは下記6項目を基準に判断されます。

  • 排便回数
  • 血便の度合い
  • 発熱(体温)
  • 頻脈(脈拍数が高くないかどうか)
  • 貧血(血液中のヘモグロビンが低くないかどうか)
  • 赤血球沈降速度(赤沈、赤血球の沈む速度が速くないかどうか)

・軽症
1日の排便回数が4回以下、血便がわずかにある程度、体温が37.5℃以下、頻脈では無い、貧血では無い、赤沈が正常値、といった6項目全てが満たされている場合。

・中等症
軽症と重症の中間。軽症条件を満たしてはなく、なおかつ、重症条件も満たしてはいない場合。

・重症
1日の排便回数が6回以上、便の大部分が血液であるような重度の血便である。
また、①体温が37.5℃以上、②脈拍数が毎分90以上、③Hb10g/dL以下の貧血、④赤沈が30mm/h以上という条件のうち、①か②のどちらかを満たしつつ、①~④の項目のうち2項目を満たす場合に「重症」と判断されます。

・劇症
重症の条件を満たしつつ、1日15回以上の血性の下痢が続いている、体温が38.5℃以上、白血球数値が10000/mm3以上、強い腹痛があるという条件すべてを満たした場合に「劇症」と判断されます。。
この劇症例の場合、短期間の間に大腸摘出などといった外科手術を行うかどうかを決定する必要性が生じます。

潰瘍性大腸炎の治療方法

潰瘍性大腸炎の治療法は大腸の粘膜の炎症をできるだけ抑えて症状を緩和するための注射薬や飲み薬などでの投薬治療が一般的には行われます

潰瘍性大腸炎は薬によって、ある程度は症状を抑えることができ、また、症状再発の予防効果も期待されますが、完全に治療(完治)することは出来ず、基本的には一生付き合っていく必要のある病気となっています。そして例え、症状が収まった寛解期になったとしても、再燃の予防のためには一生、投薬を続ける必要があります。

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)

5-ASA製剤は大腸の炎症を抑える薬で、潰瘍性大腸炎の治療では基本となる薬です。
主に軽症や中等症の人に使用されます。

大腸の炎症を抑える効果があるため、下痢や腹痛などの症状の減少が期待できます。また、再燃を予防する効果もあるため、症状の無い状態(寛解期)でも継続して投薬するのが一般的です。

この5-ASA製剤は飲み薬としての錠剤、顆粒剤の他にも、座薬や注腸剤(肛門から薬を直接注入するタイプ)などの局所製剤もあります。
色々な形式の薬があるため、飲み薬だけでは効果が薄い場合は座薬や注腸剤を併用する場合や、座薬や注腸剤のみを使用する場合など、その人の症状にあわせて使用されます。

副腎皮質ステロイド薬

副腎皮質ステロイド薬

副腎皮質ステロイド薬は強力に大腸の炎症を抑える効果があり、5-ASA製剤で効果が出ない人、中等症や重症の人に使用されます。
症状が出ている際の治療薬としては効果的ですが、再燃を予防する効果はないため、いったん症状が収まった後(寛解期)には継続的な投薬はされません。

大腸の炎症を抑える効果はかなり高いのですが、様々な副作用を起こす可能性もある薬であるため、どうしても必要な時期に必要な量だけを使用するのが一般的です。

ステロイド薬は飲み薬としての錠剤、座薬や注腸剤、点滴などの注射剤などがあります。なお、注射剤は重症の人に使用されます。

免疫調節薬

免疫調節薬

免疫調節薬はステロイドの効きが弱い場合やステロイドの副作用を抑えるためにその量を減らしたいときなどに使用される、過剰になっている免疫反応を抑える効果のある薬です。
また、再燃を予防する効果もあります。

ただし、免疫調節薬は飲み始めてから効果が出るまでには2か月程度もの期間を要します。

血球成分除去療法

血球成分除去療法

血球成分除去療法は両腕の血管に長い管を繋げて、片方の腕からポンプ経由で血液を取り出し、余計な白血球等を取り除く装置(特殊なフィルターなど)を経由して、もう片方の腕から血液を体に戻す治療法です。

薬物療法で効果が得られない中等症から重症の場合に検討される治療法で、他の薬物療法と比べると副作用が少ないのが利点です。
ただし、この治療は治療時間に2時間ほど必要で、その間はずっと両腕の血管に管をつないだまま装置のそばで安静にしている必要があります。

外科的治療

外科的治療は他の治療法の効果が無い場合や治療の副作用が激しい場合などに最終的に検討される治療法です。具体的には大腸の全摘手術(大腸全摘術)を行います。
潰瘍性大腸炎を患っている人のうち約1割がこの大腸全摘術を受けるにいたっています。

大腸は水分の吸収を行う臓器であるため、手術で大腸を摘出した後は便の状態がゆるくなり、排便回数が増加します。(1日5回以上)
また、整腸剤や下痢止めなどを常用する必要性がある場合の人もいます。

このように一度、大腸を摘出してしまうと、それが無いことによる弊害と一生付き合って行く必要が生じます。

潰瘍性大腸炎に関するまとめ

今回のまとめ

潰瘍性大腸炎は指定難病に定められているほどの厄介な病気であり、日本人の約1000人に1人がこの患者として治療を受けています。1000人に1人という数値を多いと見るか少ないと見みるかは人それぞれですが、誰でもなる可能性のある病気ではあると言えます。

完治はできないまでも、治療により通常の生活を遅れるようになる可能性はある疾患です。
そのため、この難しい病気になってしまった場合は、1つ1つの治療法を試して、自分に最適な物を見つけること、症状が表れなくなった寛解期になったとしても、再燃を予防するための治療を油断せずに続けることが重要です。

潰瘍性大腸炎だと一度でも診断された場合は、症状が収まったとしても治療を続け、再燃予防をしっかりとしていくことで日常を健康に生活していけると思います。

—参考元—

厚生労働省,平成27年1月1日施行の指定難病
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062437.html

政府統計の総合窓口,衛生行政報告例
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450027&tstat=000001031469&cycle=8&tclass1=000001132823&tclass2=000001132824&tclass3=000001134083&stat_infid=000031873765

厚生労働省,難病対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html